【レポート】5月の番町寄席「緑太・馬久二人会」

2016年5月13日

5月とは思えないような暑い一日でしたが、本当に多くのお客様にご来場いただきました。

「これが楽しみで」と笑いながら声を掛けて下さる方も多く、心より感謝申し上げます。

さて、5月の「番町寄席」は柳家緑太と金原亭馬久という若手落語家さんをお迎えしておおくりしました。

人気者のお二人で開場前から1Fロビーに入場の列ができてしまいました。コンサートのようです。

「番町寄席」初登場のお二人が対照的なお噺を2席づつ演じて下さいました。

 

先行は、金原亭馬久で「元犬(もといぬ) 」

img2016051302八幡さまに、三七、二十一日の願を掛け人間になった白犬のシロ。
何処かに奉公して飯にありつかなければ…と犬だった時に可愛がってくれた口入屋に世話を頼むが…

人間に成りたてのシロと口入屋、そして、紹介先のご隠居が繰り広げる珍問答が面白いし シロが可愛い噺です。
しかし、何と言っても馬久さんが、「犬~!?」と心の中でツッコミを入れた方が多かったのでは無いでしょうか。犬とは思えない大柄の馬久さんが、犬の仕草をする所が可愛い一席でした。

続いては、柳家緑太さんで「持参金」

img2016051303結婚と金に絡んだブラックユーモア噺とでも言いましょうか。「元犬」とは相反する大人の一席です。
以前に5円を借りていた友人が急に返済を迫るところから噺は始まります。5円の金策に悩んでいるところへ持参金付きの縁談が持ち込まれる。聞けば、かなり横に大きい体型で更に妊娠中…と訳ありの相手だったが、今は金策が優先とばかりに承諾する。しかし、実は5円の出所と返済先が同じで持参金の5円はクルッと一周し新婦だけが残るという寸法です。

この主人公は、何事にも無精でやる気がありません。緑太さんが、かな~り悪い男に見えるお噺でした(笑)。
(名誉の為に申し添えますが、実際はとても丁寧で爽やかな落語家さんです)

さて、馬久さんの2席め「近日息子」

芝居小屋で「近日より」という看板を見つけ、近い日=明日 と解釈してしまう息子に父親が、「近日より」というのは、客の気を引く書き方で商売とはこうやって先へ先へと気を利かさなければいけない…と小言を言った。しかし、小言の相手は息子の”与太郎”!!
落語で与太郎と言えば、間抜けな事をしない訳がない。変な”近日ぶり”を発揮して大騒ぎになるというお噺です。

馬久さんは、よく通る声の持ち主で迫力がある落語家さんですが、寄席踊りを披露ということで立ち上がった時に更にビックリしました。馬久さん、やはり犬ではなくて馬ですね~(笑)

寄席踊りは「せっほん」でした。

img2016051304img2016051305

最後の一席は緑太さんで「死神」

img2016051306 元はグリム童話の『死神の名付け親』とされているこのお噺ですが、古典落語だそうです。

 お金に縁の無い主人公の元へ死神が現れ、死神を見ることができる力を授ける。死神が病人の枕元に座っていたらそいつは駄目。反対に足元に座っていたら助かるから呪文を唱えて死神を追払うことができる。その力を利用すれば医者になれると死神が言う。
 死にそうな患者が助かるという評判を聞いた大店から三千両でご隠居を助けてくれと頼まれる主人公。悪知恵を働かせ、枕元に居る死神を騙して追い出してしまうが、死神の怒りを買い…

 最後の場面(命の炎と聞いて怯えながらもやっとロウソクに火を灯す)での主人公の描写が見事でした。このお噺では、サゲに色々なパターンがあるそうですが、緑太さんの選択に会場の空気が一瞬凍りました。これは、立川談志さんが作った最悪のパターンだそうです。命の炎を点けることが出来て喜悦満面だった主人公の顔が、一瞬にして意地悪い死神の顔に変化する様も本当に怖くてゾッとしました。
5月にしては真夏のように暑い日でしたから涼を呼ぶ一席をお届けできて良かったです。

次回の「番町寄席」は、7月8日(金)開催予定です。(出演者は未定です)