【レポート】2月の”いきコン” 杵屋邦寿「黒塚」
2017年の「一人勧進帳」につづき演じていただいた作品は、歌舞伎でも人気の演目「黒塚」です。
タイトル通り、長唄三味線奏者の杵屋邦寿さんが、弾く・語る・唄う・話すを一人で演じます。
今回は、ステージ冒頭でストーリの概説と「黒塚」を演じることになった経緯のご説明がありました。
元々は能であった「黒塚」を4世杵屋佐吉が歌舞伎舞踊曲として作曲し、1939年に二世市川猿之助により初演されたそうです。
4世杵屋佐吉の作曲が見事で美しい旋律に惹かれ、杵屋邦寿さんが一人歌舞伎として演ずるようになったそうです。また、代々の「猿之助」によって上演を重ねられている「黒塚」です。
会場は、シーンと静まり杵屋邦寿さんの一言一言、三味の響きに耳を傾けます。
内容が内容だけに緊張感のあるステージの始まりです。
諸国を巡っている僧・祐慶(ゆうけい)の一行が宿を求めて訪れた粗末な家。
人里離れたこの家で男に捨てられ人を恨み暮らす岩手という老女と出会う。
老女は、人を恨んで生きてきた自分は成仏出来ないであろうと自暴自棄になっていた。 しかし、僧の祐慶に諭され「未だ、成仏できる道がある」と分かり、心も軽くなります。
老女は、ウキウキと裏山に薪を取りに出掛けます。
しかし、出掛ける前に固く言いつけた「決して閨(ねや)を見てはいけない」という言葉が反って気になる祐慶の付き人。
鶴の恩返しのようなストーリー展開ですが、
ここでも「見るな!のタブー」は、悲劇を生みます。
覗いた岩手の閨は、沢山の人骨の山そして地の海。一行は老女に化けて旅人を食う鬼女だと気付きます。そして、秘密を見られた裏切りに憤り、一行に襲い掛かる鬼女岩手。
祐慶に諭され童女のようにハシャグかと思えば、一点して鬼女となり襲い掛かる岩手。現代ドラマで例えるならば、ジェットコースタードラマというような展開です。
【出演】
杵屋邦寿(きねや くにとし)
長唄協会会員
1957年 東京都新宿生まれ。
18歳の時、三味線に出会う。1990年に独立して杵屋邦寿となる。松永鉄九郎師と平成元年に<長唄三味線ライヴ 伝の会>を結成、その実績と内容は高い評価を得ている。劇団文化座・花組芝居・劇団前進座・他、若手劇団等の芝居音楽の作曲、プラン、演奏も数多く手がけている。
松竹歌舞伎・平成中村座・劇団新派・劇団前進座・藤山直美公演・坂東玉三郎特別公演・名古屋むすめ歌舞伎等で、舞台師としての活動もある。近年は「一人ライヴ」の活動も各地で重ねている。
60代男性「期待に違わぬ素晴らしいライブ。三つの場面が見えるような熱演でした」
60代男性「大変な熱演でした。美しい声です。しかし、やはり単調と感じました」
50代女性「邦楽の魅力。楽しかった」
50代女性「情景が思い浮かぶようでした!」
女性「黒塚のポスターに惹かれ参りました。一人語りとは、初めての体験でとても楽しめました。また、チャンスがあったら聞いてみたいです。前の解説があり理解が深まりました」
その他、開始時間や座席についてなどもご意見をいただきました。
ありがとうございました。